【コラム】少額訴訟詐欺 2ページ目

●対応策は?

あなたの元へ送られてきた書類が、本当の裁判所からの通知と判明したならば、あなたは訴訟の被告人になっているということであり、対応策を考えなければなりません。

先ほども申し上げましたが、あなたが小額訴訟の被告人になっている以上、無視することはできません。裁判に出頭しなければ、あなたの敗訴となり、そもそもが架空の請求であったとしても、あなたは原告(業者)の請求通りの金額を支払う義務を負うことになってしまいます。


●本当に詐欺なのか?

さて、それに対しどう対応するかですが、まずはこの訴訟が架空のものなのかどうかを見極めなければなりません。

実際のところ、近年はネット、クレジットカードの普及もあり、有料サービスを利用する際にも、正式な契約書を交わさずとも、簡単に契約を結ぶことができ、普段よくネットを利用し、特にネットサーフィンで遊ぶことが多い方ならば、業者から突然請求が来たとき「ひょっとしてあの時の・・・」と考えてしまうこともあるかと思われます。

架空請求とはこの「ひょっとしてあの時の・・・」の心理をついた詐欺だと言っても構わないと思いますが、あなたが正式に被告人になってしまっている以上、相手の出方を伺う、というような悠長な事はできません。裁判の日は迫っているのです。

訴訟の内容は、個々の場合によって違いますし、私は法律の専門家ではないので、業者の訴訟が架空のものかどうかを見極めるには、これこれこうしたらいい、と言う事はできません。ですから、あなたが正式に訴訟の被告人になっているのであれば、弁護士や司法書士に相談することを薦めます。市役所や区役所で行っている法律相談や、弁護士会が開いている法律相談センターなら、相談料も無料の所もあるかと思われます。


●架空請求に対する対応策

業者側の請求が、架空のものであり、相手側は証拠も用意できないはず、と確信できるならば、すなわち、あなたのほうに非は無く、完全な詐欺であるならば、あなたのとるべき手段として、以下の2つのお勧めします。


 *小額訴訟裁判に出頭する

堂々と裁判に出頭し、無実を主張する方法です。

悪質業者が遠方の簡易裁判所を指定していた場合、近くの簡易裁判所への移行申請を行い、最寄の裁判所への出頭で済むようにしてもらいましょう。

業者側の請求が架空のものであるならば、結局、何の証拠も提出できないので、あなたの勝訴となって終わりです。裁判自体は一日で終わります。


 *通常訴訟への移行申請を行う

小額訴訟裁判で争うのではなく、通常の裁判で争うよう申請する方法です。制度上、被告(あなた)が通常訴訟への移行を申請すれば、相手側は拒否することはできません。

通常の民事裁判となると、証拠の提出義務が生じる上、弁護士費用等多額の費用がかかり、手間も時間もかかります。しかし、裁判費用は敗訴した方が負担することになっていますので、業者側に証拠が何も無く敗訴が確実ならば、結局、業者側は多額の費用と手間と時間を損するだけの事になりますので、すぐに訴訟を取り下げるでしょう。逆に業者側は、詐欺行為により精神的損害を被ったとして被告に慰謝料を請求される可能性もあります。(これについて後で詳しい話を載せたいと思います)

ただし、繰り返しになりますが、これはあくまで相手側の業者の請求が詐欺であると確信できる場合にのみとるべき手段であり、もし相手が通常訴訟への移行にも動じなかった場合、あなたが本当に払うべき代金を払ってないのかもしれず、あなたのほうに非がある可能性もありますので、この方法でいくべきかどうかは、専門の弁護士の方に相談してから決めるべきです。


●業者側のリスクは?

少額訴訟詐欺は、詐欺師にしてみれば、被害者が何の抵抗もしなければ「合法的」にお金を騙し取れる確実性があるメリットがありますが、自らの身をさらけ出す事にもなり、逆に自らが訴えられるデメリットもあります。

悪質業者は、被害者側が裁判沙汰は不安だから出頭しなかったり、面倒だから無視したりする事を予想してこの詐欺行為を行うわけですが、その予想が外れた場合、リスクを背負うことにもなります。

事実、被告側が逆に業者側を訴えたケースもあるので、それを紹介します。



2004年3月、20代男性会社員のAさんの元へ、某出会い系サイト業者から「サイトの利用料等約26万円を請求する。支払わない場合、詐欺罪で訴える。」という内容の書面が届きました。Aさんは身に覚えの無い事だったので放っておきましたが、一ヵ月後に、大阪簡易裁判所から「有料サイトの登録料を支払ってないので3万円、無断で携帯電話の番号を変更したなど規約違反罰則金として5万、更に、Aさんと連絡が取れなくなり、その為調査会社に依頼したのでその調査費用6万3千円計143000円を請求する。」という内容の訴状が届きました。

Aさんは警察、消費者センター、弁護士会に相談へ行き、そこである弁護士と出会います。その弁護士は、少額訴訟詐欺の問題に取り組んでいる人であり、Aさんにこの事件の弁護をさせてくれるよう頼み、Aさんは彼らに弁護を依頼し、その後18名の弁護団が結成されました。


Aさんと弁護団は大阪簡易裁判所から、東京地方裁判所への移送を申し立てます。(すなわち、少額訴訟裁判ではなく、正式な民事裁判で争う事にした訳です。)慌てた業者側は、訴訟を取り下げますが、Aさん側はこれを認めず、移送は認められ、裁判は継続されます。

更にAさん側は、業者側に対し「架空請求に対する慰謝料」として110万、更に、業者側の依頼した「調査会社」に対しプライバシーの侵害を理由として損害賠償110万の請求をする反訴を起こしました。

その後の裁判の経過は、結局業者側は裁判に出廷せず、判決は、業者側の請求はAさんがサイトを利用した証拠が無いとされ棄却され、Aさん側の起こした反訴の方は、架空請求の慰謝料として30万、弁護士費用10万、計40万を業者側に支払うよう命じる判決となりました。(調査会社に対するプライバシー侵害を理由とした損害賠償請求の件は触れられず、また、本訴反訴含めての訴訟費用は業者側が負担する事となりました。)



このように、少額訴訟詐欺は、被害者側が堂々と立ち向かえば、業者側が痛手を被る事が明らかであり、この詐欺行為を企む悪質業者も、この事例を知れば考えを改めるでしょう。しかし、この手口はまだ新しい手口であり、また次々と新たな詐欺手口を考える悪質業者が出てくることも十分考えられますので、油断は禁物です。


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