【コラム】少額訴訟詐欺 1ページ目

●少額訴訟詐欺

皆さんは、小額訴訟という制度をご存知でしょうか?

この制度は、金銭トラブルの中でも、特に小さな案件を、簡単に、迅速に裁判所を利用して、解決しようとする目的でつくられた制度です。

この制度は、ネット上の金銭トラブル、ネット犯罪への対抗手段としても非常に便利なものなのですが、この制度を悪用した詐欺行為が存在します。

この詐欺の恐ろしいところは、放置することができない、という点です。

通常の架空請求ならば、無視しておけば大抵は業者側が手を引いて終わりです。しかし、この小額訴訟詐欺は、放置すれば、あなたに何の落ち度がなくとも、法的な強制力をもって、あなたに業者の要求通りの金額を支払う義務が発生してしまいます。

裁判所を利用した、極めて悪質で迷惑な詐欺手口なのです。


●少額訴訟とはどんな制度?

少額訴訟とはどんな制度なのか簡単に説明します。

少額訴訟は平成十年にスタートした制度で、少額の金銭トラブルを、簡単に迅速に裁判所を利用して解決するというコンセプトで始められた制度です。

通常の民事裁判だと弁護士を立てる必要があったりして、手続きが非常に面倒で費用も掛かってしまいます。よって、1000万を回収しようと民事訴訟を起こすことはあっても、10万の為に(たとえば知人に10万貸したが返してくれない等)、訴訟を起こす気にはなれない人が多いでしょう。

しかし、それでは、少額の損害を被った人の権利は守られなくなってしまいます。そこで、60万以内の案件に限り、簡単に裁判所を利用できる少額訴訟制度が始まりました。

この制度はまだ始まったばかりで日が浅く、日本ではあまり定着していませんが、ネットでの金銭トラブルが今後も増加することを考えると、この制度の利用者数は今後も増加していくものと思われます。


●少額訴訟の特徴

少額訴訟で扱う案件は60万以下の金銭の請求のみです。「会社を解雇されたが、不当解雇であるため取り消しを求める」といったような訴えはできません。また、金銭のみといっても「貸した金を返してほしい」「サービスを利用した代金を支払ってほしい」というような金銭の損害から始まった事件だけでなく、「暴力を受けたから、その慰謝料を要求する」という場合も、金銭の請求なので、少額訴訟を利用できます。


少額訴訟は、裁判所を気軽に迅速に利用できる為の制度であり、基本的に裁判は一回の審理のみで、一日で終了します。証人や証拠はその場ですぐに調べられるものに限定され、一回の審理では裁判が終わらないような複雑な事件だと裁判官が判断した場合は、少額訴訟裁判を利用できません。また、判決に不服があったとしても、上級裁判所への控訴は出来ません。その代わり、異議申し立てができ、その場合同じ簡易裁判所で再審理を行います。訴訟費用も安く、訴訟の請求金額の1%と、通信費等数千円~数万円以内で済むと思われます。弁護士を立てることも出来ますが、必ず立てなければならない訳ではありません。

もし、少額訴訟を起こそうと思われたなら、まず近くの簡易裁判所に行って相談するのが良いと思われます。裁判所の書記官が丁寧に相談に乗ってくれるはずです。


●裁判所からの通知?

悪徳業者の、小額訴訟詐欺のターゲットにされた場合、どんな事が起こるのでしょうか?

まず、あなたの元へ、裁判所からの書類が送られてきます。この時、まずその書類が本当に裁判所から送られて来たものなのか、必ず確認しましょう。と、言うのも、実際のところ裁判所からの通知を装った、偽者の書類を送りつける詐欺も存在しているからです。

小額訴訟の場合、裁判所からは「口頭弁論期日呼出状及び答弁書催告状」という書類が送られてきます。

「口頭弁論期日呼出状」とは、裁判期日までに、裁判所に出頭するよう求めるものです。

「答弁書催告状」は、裁判所が定めた期日までに、「答弁書」を提出するよう求めるものです。なぜ、答弁書を提出する必要があるのかというと、裁判所が被告の元へ書類を送る段階では、原告の請求が正当なる理由のあるものなのか、架空のものなのか、判断することができず、当事者双方の主張を知る必要があるからです。

また、原告の主張を書いた訴状と証拠書類のコピーも送られてきます。これは、裁判所が、被告を裁判所へ呼ぶ際に、被告がどんな理由で訴えられたのかを知らせる為のものです。


●本物かどうかの確認

上に挙げた書類には、本物ならば、どこの裁判所から送られてきたのか、必ず記載されています(小額訴訟詐欺ならば、遠方の裁判所が多いようです。被告人に出頭させづらくするためです)。しかし、すぐに書類に記載されている連絡先に連絡してはいけません。というのも、悪徳業者から送られてきた偽物だった場合、偽りの連絡先を記載している場合も有り得るからです。その場合、その連絡先にこちらから連絡をすることによって、電話番号等の個人情報を引き出される可能性があります。

よって、書類に記載されている発送元・連絡先が本当の裁判所であるかどうかを、電話帳や消費者生活センターなどで確認してください。その上で、本当の裁判所の連絡先に連絡し、本当に裁判所から通知が出されたのか確認してください。

また、書類の形式から、本物かどうかを見分ける事もできます。

まず、裁判所から小額訴訟の呼出状が送られる場合には、「特別送達」という特別な郵便により送付される事になっています。はがきや普通郵便で送付されることはありません。また、郵便職員が名宛人に手渡すのが原則であり、郵便受けに投げ込まれることはありません。

そして、郵便職員から受け取るときは、「郵便送達報告書」に受け取った人の署名又は押印をするよう求められます。

また、小額訴訟の呼出状には、裁判所で付した「事件番号」「事件名」が記載されています。

これらの特徴から、本当の裁判所からの通知か、偽物かを判別することができます。

もし、送られてきた書類が偽物だったならば、放置して構いません。


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